私は大変な窮地に立つことになりました。ある日の夕方バスに乗って、私は安芸市から東へすぐの安田町へ向かっていました。見ると、私の向かいに優しそうなおばあさんが横に買い物かごを置いて座っていました。私の生徒たちも周りにいて、お互いにおしゃべりをしながらバスを降りてそれぞれの家に帰っていき、そして私の家の台所にある机の上にさりげなく私の財布があるのが思い出され・・・。バッグをのぞきこみ、これらのことから導き出される結論に達した時、私は固まってしまいました。動悸は激しくなり、目に見えない屈辱から心は揺れましたが、なんとか解決を試みようとしました。生徒にお金を貸してくれと頼むのは信用を失いそうでしたので、何回か携帯電話をかけてみるとやっと私の拳法の先生につながりました。5分後、私はバス停に降りたちました。そこには呑気にくわえタバコをして、のばした腕の手にお金を握った先生がいたのです。その瞬間、彼はほとんど追いつめられていた私をたった一人で窮地から救ってくれたのです。私が10回目のお礼を彼に言う前に彼はそこを立ち去り、優先すべき彼の仕事に戻るために車に乗って田舎の道を行ってしまいました・・・彼の仕事、それは温室でナスを育てることです。